農機具 チョークを戻すと脈打つ様になって5分位でエンジンが停止
農機具(耕運機)をしばらく放置していたら、
エンジンがかからなくなってしまった・・・
なんてことは良くあることで、
キャブレターを掃除すると直ったりもするんですが、
放置していたお陰で、
他のトラブルが出てくる場合もあるんですね。
例えば・・・
①エンジンはかかるんですが、チョークを戻すと脈打つ様になって、5分位でエンジンが停止してしまったり、
②チョークを引いたまま畑を耕すと、
しばらくは動いているんですが、時期に止まってしまったりします。
こんな時は、
あちこちバラバラに見るのではなく、
燃料の流れに沿って上から順に見ていくことが大切なんです。
そもそもの話しなんですが、
チョークは引くと空気の量を少なくして、
燃料に火が付きやすくしてくれます。
と言うことは・・・
チョークを戻すと言う事は、
空気の吸入している量が多くなっているワケなんです。
しかし、
チョークを戻すと言う事は、
空気の吸入量は規定値に戻していると言う事です。
って事は、
そもそもの燃料の噴射される量が少ないって事なんです。
分かりますかね?
つまり、
この現象の場合は、
チョークを引いて、空気の量を減らしてエンジンが掛かりやすいと言う事は、
そもそも、
キャブレターから噴射される燃料の量が少ないから、
チョークを引いて空気の流入量を少なくしないと、
エンジンが掛からないんです。
ですから、
燃料の噴射される量が少ないところでエンジンが掛かっているのに、
急激にチョークを戻して、
空気の量を多く増やすと(規定値に戻しているのですが)、
燃料に対して空気の量が多いので、
燃焼室に入る混合ガスの燃料の割合が急激に落ちるので、
混合気に火が付かなくなってエンジンが止まるんですね。
原因は、
燃料がどこかで詰まっているのが原因で、
燃焼室に燃料が必要量届いていないと言う事なんです。
チョークの目的は・・・
寒い時期の朝などにエンジンをかけるとナカナカかからないと言う事が起きます。
この時に起こっている事は、
「寒い季節は空気が冷えてキャブレターに対する空気の流入量が増えている」事が原因なんです。
そこで、
チョークを引く事で流入する空気の量を減らしてあげて、エンジンがかかりやすくしているんです。
トラブルシューティングの仕方としては・・・
「燃料タンク」から「ストレーナー」、「キャブレター」と言う様に、
ガソリンの流れに沿って、
上から一個づつ見ていくとトラブルシューティングができて、
しっかり直す事ができます。
まずは、
Contents
①燃料タンクを見ます
燃料ンタンクの燃料の注ぎ口とキャップが錆びていないか確認してください。
タンクの注ぎ口やキャップが錆びていたら、
サンドペーパーなどで錆び取りをします。
そして、
タンク内も確認します。
タンク内に錆びが多く出ていたら、
ホームセンターなどで少し太目の鎖を約30㎝ほど購入して、
少しの灯油と鎖を入れて、
タンクの口を指で押さえておいて、
タンクを「ガラガラ」振り回してください。
これを何回か繰り返すと、
タンク内の錆びが取れていきます。
また、
タンクの錆び取り様のケミカル商品などでも錆びは取れますので、
試してみてください。
タンクキャップが錆びている場合も錆び取り剤に付けておくと良いですね。
※目的以外の洗剤などは使用しないでください。
燃料タンクの錆び取りの方法はコチラです。
②燃料クリーナー
次はコップの様な形の燃料クリーナーの清掃です。
燃料クリーナーは、車体によってあったりなかったりします。
基本的に燃料タンクの中に装着されていて、
燃料タンクからストレーナーに燃料が通るところに、
カップの様な形で装着されています。
ストレーナーを外すと分かりやすいかもしれません。
クリーナーを取りはずして、
掃除するんですが、
あまり汚れている様であれば、
交換しちゃいましょう。
③ストレーナーの点検
ストレーナー(別名「燃料コック」)は、
燃料タンクから燃料が出るときに、
一番最初に通る場所です。
燃料のコックが付いているので、
分かると思います。
このストレーナーの点検をしてあげてください。
まずは、ストレーナーをoffにしてあげて、
ストレーナーにゴムホースが付いていると思います、このゴムホースのストレーナー側を外します。
そして、
ストレーナーをonにしてください。
これで燃料がジャバジャバ出る様であれば正常です。
ちょっとしか出なかったり、
全く出なかったりしたらストレーナーに問題があります。
恐らく詰まりがあるので、
中を掃除してあげてください。
掃除してもダメだったら、
新品と交換です。
④燃料ホースの点検
ストレーナーを見てあげたら、
今度はストレーナーに繋がっている燃料ホースの点検をしてください。
ストレーナーとキャブレターに繋がっている段階で、
燃料の漏れがないか確認してください、
そして、
ゴムホースの途中に亀裂などないかも同時に確認してください。
ここで燃料が漏れていると、
正常な量の燃料がキャブレターまで届きませんので、
簡単なパーツですが、
注意が必要です。
もし、
亀裂や割れなどがあった場合は、
新品に交換してください。
⑤キャブレターの掃除の前に・・・
「ここでキャブレターを分解清掃しましょう」といきたいのですが、
その前に、
農機具の場合、
キャブレターが脈打つ様に動く時は、
ガバナアームの連結が悪い時があるんです。
スロットルバルブの上から連結棒でつながった先がガバナアームになるんですが、
このガバナアームの繋ぎ方が間違っていると、
スロットルバルブが開きっぱなしになってしまって、
キャブレターが脈打つ様な症状が出てしまう時があります。
まずは、
エアクリーナーを外してキャブレターの中にライトを当てて見てください。
キャブにはバタフライバルブが2つ付いています。
手前に見えるのがチョークバルブ、
奥にあるのがスロットルバルブなんです。
エンジンを止めてスロットルを閉じている状態だと、
手前のチョークバルブは開いた状態で、
奥のスロットルバルブは完全に閉じた状態になっているのが正常なんです。
しかし、
この時に、
奥に見えるスロットルバルブが少しでも開いていれば、
ガバナアームとの連結が間違っている事になりますので、
この奥のスロットルバルブが少しでも開いているのであれば、
スロットルバルブが完全に閉じる様に、
ガバナアームを繋ぎなおしてください。
そして、
チョークを引いたまま動くのは、
2つ付いているバルブの、
奥のスロットルバルブが開いていれば、
手前のチョークバルブを閉じる事で、
空気の吸い込み量を減らせるので、
奥のスロットルバルブが閉じている状態と同じ状態になるからなんです。
その結果、
混合気のバランスが取れるので、
一時的に耕すことが出来るんです。
しかし、
スロットルバルブが開いているのと、チョークバルブが開いているのとでは、
意味合いが違ってきますので、
連続運転をすれば、
混合気のバランスがズレてしまうので、
エンジンが止まる事もあります。
⑥キャブレターの清掃
チョークを戻すとエンジンが止まってしまったり、
エンジンが脈打ったりするのは、
燃料が充分に気化していない状態です。
チョークを開いた状態で運転ができる所を見ると、
完全には詰まっていない様ですが、
キャブレターの清掃が不十分かもしれません。
キャブレターを完全に分解して、
キャブレターの空気経路を確実に通す必要があります。
パーツクリーナーやキャブクリーナーなどで清掃を行ってください。
そして、
ゴミなどがあったら、
しっかり取り除いてください。
また、
キャブ下部のフロートチャンバーは外して、
中をよく拭き取りサビなどは落とします。
上面のパイロットジェットは外して、
クリーナーを小穴に注入して、
キャブ正面やパイロットジェット内部と空気吸入口に噴出するまで通します。
メインジェットも同様に清掃して元に戻します。
キャブレターの掃除にキャブレタークリーナーを使う(エンジンが動く時)
このキャブレターを掃除する時に簡単で有効なのが、
キャブレタークリーナーを使用する事です。
※ここでのキャブクリーナーの使用方法はあくまでもエンジンがかかる時の使用方法です。
キャブレタークリーナーの使い方は簡単で、
①エアクリーナーのエレメントを外して、
エアクリーナーボックスを開けておきます。
そして、
エンジンをかけます。
エンジンがかかったら、
エアクリーナーボックスの中に、
キャブレタークリーナーを吹きかけてあげます。
もしくは、
②キャブレターのイン側を開けてあげて、
そこからキャブレターに直接キャブレタークリーナーを、
吹きかけてください。
この時、
エンジンが止まりそうになったら、
アクセルを吹かしてあげて、エンジンが止まらない様にしてください。
これを何度か繰り返すと、
キャブレターの詰まりを解消できて、
エンジンの吹けも良くなります。
キャブレタークリーナーをどこまで使用するのか?と言うと・・・
キャブレタークリーナーを吹きかけてエンジンを吹かしていると、
最初は黒い排ガスが出てきます。
しかし、
キャブレターやエンジンの燃焼室がキレイになってくると、
黒い排ガスが徐々に白くなっていきます。
完全に白くなったらキャブレタークリーナーは終了です。
是非、試してください。
この時、キャブレタークリーナーは、
泡状の物を使用してください。
エンジンの調子が戻ったら、
パーツを全て戻して終了です。
以上になります。
あとは、
燃料の経路をチェックして、
タンク~ストレーナー~燃料ホース~キャブレターと、
燃料を通して終了ですが、
二次エアを防ぐためにしっかり取付してください。
また、
キャブレターとエンジンの間にはインシュレーターがあります。
このインシュレーターの装着が上手くいっていないと、
二次エアを吸ってしまって、エンジン不調の原因にもなりますので注意してください。
ついでに、
エアクリーナーボックスの掃除とエアエレメントの交換、
点火プラグの交換までやれば完璧ですね。
いかがだったでしょうか。
以上が
「農機具 チョークを戻すと脈打つ様になって、5分位でエンジンが停止」の時の対処方法です。
この一連の作業ができないと、
エンジンの不調は直りませんし、
正常に使う事が難しくなります。
ですので、
覚えておくと便利です。
そして、
キャブレター内部を掃除したら、
キャブレターの外側もキレイにしてあげましょう。
パーツクリーナーやキャブクリーナーを使用して、
歯ブラシなどで細かい所まで掃除してあげると、
キレイに掃除できます。
こういったキャブレターやエンジンがキレイだと、
誰かがエンジンルームを開けた時に、
「この人やってるな!」となって、
ちょっとした自慢になります(笑)
また、
こう言った作業に自信がない時は、
整備解説書などを取り寄せて、
農機具の各箇所のパーツなどを確認した上で行なうと、
簡単にできます。
しかし、
ここまでのトラブルで、
自分で直すのが難しいと思っているのでしたら、
人や農機具屋さんに頼むか、
買い替えるのが賢明でしょうね。
追加で解説を入れておくと・・・
チョークを使用する時ってどんな時?
チョークを使用するのはどう言う時なのかと言うと、
エンジンの始動を良くするために使うんですね。
そして、
チョークを引くと言うことは、
空気の流れを少し絞って、
燃料を空気に対して濃くして、
濃い空燃比を作っているんです。
しかし、
このままの状態で良いわけがないので、
エンジンが始動して暖気が終了したら、
チョークを外して、元の空燃比に戻します。
チョークを外した状態にした時にエンジンが回らないのは、
チョークを外しても、
空気の流入量が薄すぎる状態になっていると言う事なんです。
つまり、
1. 空気がそもそも多すぎていて燃料系は大丈夫な時
2. 空気の吸い込みには問題はなく、燃料系に問題ありの時。
3. プラグの番手が合っていない。
それでは、順番に見ていきましょう。
この点検は1→3→2の順番に点検していきます。
1.はキャブレターとエンジンを繋ぐインシュレーターに亀裂がないかを見ます。
また、インシュレーターが正しくきちんと組まれていないか?も確認してください。
3.はプラグを点検してください。
せめて品番が合っているのか?を確認してください。
2.の燃料系は、パイロットジェット(PJもしくはSJ)を確認。
チョークを使用すると言うことは、
PJを使用しないでガソリンの供給をすると言う事なので、
PJのつまりが無いかを確認しましょう。
ちなみに、
プラグが真っ黒だと、
燃料が多い状態なので、
PJを閉じると良いと思いますよ。
農機エンジンの燃料を詰まらせない方法は・・・
普段、使用している時に詰まる事はほとんどありません。
燃料が詰まってしまうのは、
燃料が動かないでとどまってしまっている時なんです。
こんな時に、
ガム化してしまったりして、
燃料が詰まってしまうんですね。
つまり、
農機具をしまっておいて全く動かさずに、
シーズンが始まる時に、
詰まってしまっていると言う事なんです。
ですから、
農機具をしまう時に絶対にやらないといけない事があります。
それは・・・
●ガソリンエンジンの場合(混合油含)
燃料コックをOFFにしてからエンジンをかけ止まるまで回します
キャブのドレンから燃料を抜きます
タンクから燃料を抜きます
刈払機の場合はタンクを空にしてからエンジンをかけ止まるまで回す
タンクからキャブレターまでの間の燃料を全てなくす事で、
燃料を劣化させない様にできるので、
詰まりを軽減させる事ができます。
●ディーゼルエンジンの場合
燃料を満タンにして保管します
こうする事で、
燃料タンクに水が入りにくくなって、
エンジンが掛かりにくい事を防いでくれます。
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