農機具のエンジン脱着後ギアが入らないのはディスクが反対?
トラクターのエンジンを修理するのに、
エンジン脱着後、
ギアが入らなくなった事例です。
解説していきますので、
まずは質問からどうぞ。
Question
農機具のエンジンは初めて外します。
エンジン載せ替え後、ギアが入らなくなりまた。
イセキのGEASシリーズです。
エンジン焼き付けのため、
エンジンオーバーホール後、
エンジンを取り付けたんですが、
どうやらクラッチが切れなくなった様なんです。
エンジンはオーバーホールしたので快調に動いてくれているんですが、
クラッチペダルを踏んでもギアが入りません。
エンジンを止めた状態だといくらでもギアは入るんで、
シンクロ系ではない様です。
クラッチペダルを踏んでもエンジンの動力が遮断されている様なんです。
その後、エンジンを下してディスクの向き・レリーズベアリングのスライドなども確認しました。
特に問題は無い様なんです。
しかし、
再度組み立てても症状に変化はありません。
今は、エンジンを下している状態です。
心当たりやコツなどがあったら教えてもらえますか?
イセキのGEASシリーズのクラッチは油圧式ではなく、
ロッド式です。
調整は何度もしたんですが、変わらずです。
イセキのGEASシリーズは良く見るダイヤフラム式で、
乗用車にもよく使われているタイプです。
エンジンOHのためにクラッチカバーとディスクは外しました。
レリーズベアリングは外していません。
スプラインにグリスを塗った程度です。
ストロークも詳しいデータが無いので分かりませんが問題なさそうです。
ディスクとカバーも、問題なく再使用しました。
もちろんディスクの向きにも注意しました。
カバーに調整機能はありません。
1回目の組み立て時に長いねじを使用しエンジンとミッションを少々強引に接続したぐらいです。
2回目は、クレーンで吊るしながら手で押して比較的スムーズに接続させました。
やはりどこかの部品は交換した方が良いでしょうか?
Answer
恐らく、ディスクが裏表逆だと思いますよ。
型式の詳細は分かりませんが、
このイセキのGEASシリーズだけは、
他のトラクターのディスクの組み方とは違って、
裏表逆に組まないといけないんです。
ですので、
もう一度エンジンを下してディスクを逆に組んでみてください。
また、
プレッシャープレートも少々怪しいと思いますよ。
出来れば、
プレッシャープレートとレリーズベアリングは交換した方が良いでしょう。
追伸
強引に押したときボス部が押されてクラッチデスクの平行度が狂って(振れて)いる可能性を考えても良いかもしれません。
デスクの振れはクラッチが切れない原因にもなります。
点検方法は、
メーンドライブシャフトのスプラインにデスクを入れて手で回して振れを測ります。
目で見ただけでは判りにくいので見落としやすい所なので注意が必要です。
クラッチカバー(ダイヤフラムアッセンブリ)も変形などがないかよく確認してください。
パイロットベアリング(フライホイールの中心部)は破損していませんか。
メーンドライブシャフトの先端部がはまる場所です。
こちらも、壊れていればクラッチ切れ不良の原因になります。
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